2009年5月25日月曜日

5月24日  (★)

5月24日

「5月24日(★) 」
5月24日と仰々しく書いたが、別段日本のそばの何かの記念日に当たる訳ではない。
おいしいソバがとれる時期でもない。
単に私が、5月24日にポーランドの農村の土に触れてみたいと、30年近く思い続けていて、それが果たせず、日本で落ち着かない時間を過ごしているに過ぎない。
ポーランドのソバは5月24日に播種されるのだそうだ。 何故5月24日なのかわからないから、その理由をすこしでも知りたくて、そこへ行ってみたいと思い始めたのだ。

今では日本各地に見られる荒廃農地も、ごく最近まですべて作物で覆われていた。
一年中どのように土地を使うかが農家の最大の関心事で、労働生産性とか、現金収入が問題ではなかった。だから、主な作物の収穫から次の作物の播種までの、ごく短い期間に栽培できる作物、いわゆる隙間作物は便利で大切な作物であった。それが日本のソバだった。

だから、各地の隙間の時期に適応出来るソバの品種が大切にされてきた。

ソバは、もともと日の長さが短くなると花芽を分化し始める短日性作物である。
その短日反応性の強いものは、秋になると花芽分化の後の温度が低くなり過ぎる北方では十分結実まで至らない。長日条件でも花芽分化する短日反応性の弱い品種が北に、短日反応性の強い品種が南に分布するのが一般的な傾向である。

この一般的な傾向は、日本の中でも、ヨーロッパやカナダ・アメリカ、ネパールなどを含めても成り立つ法則性である。
ここで一見例外的に見える場合があるのは、標高で、高くなるほど低温になるから、同一緯度でも高くなると、より北の品種が用いられると見ても良い。

日本のようなかなり温暖な地域では、もう一つの例外がある。春先の隙間作物としてのソバは、同じ緯度でも日長が長い時期に花芽分化が可能なもの、短日反応性の弱い、北の品種に似たものが用いられてきた。

ヨーロッパやカナダの研究者と共同研究を始めた頃、私は上に書いたような法則を見つけることにかなり夢中になっていた。もう少し付け加えれば、この法則から外れる場所の自然条件や農業事情を知ることに力を入れていたと言えばよいかも知れない。それが、その場所のソバの重要性に関係するものと考えられたので。
言葉たらすな説明になったが、また何時か詳しく書きたい。

そうした中で、ポーランドのソバは、何やら他とはかなり違う要因で播種日が決まるような気がして来た。何やら違う・・・何とも頼りない話だが、だからこそ、その時期の農地を触ってみたいと。

その後、ポーランドへは3度訪れたが、季節が異なり、播種日にはまだお目に掛っていない、
ぼんやりと感じている話でも、30年近くも経てば、それなりの結論に達しても良さそうなものだが、なかなかそうはならない。

悪いことに、社会経済情勢は急速に変化し、日本の場合など、ほとんど20年前の栽培品種は残っていない。栽培時期も、栽培農地も変わり、隙間作物は観光作物化してきている。
「それで良いではないか」との意見も多い。ここでその件について云々するには重過ぎる話題だから、宿題とすることにして。

様変わりする前に早く行きたいとの思いが、余計ムズムズした気分にさせるようだ。

ソバをすき間作物として使うのは、単に農地の空いた期間の利用という意味だけではなくて、多くの意味で実に巧妙に組み立てられていたものだと、改めて驚かされるものなのだが・・・・

今夜もまたコールドゲーム!!

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