2009年6月15日月曜日

日本のソバとふりうり(★)

6月15日
「江戸の振売」

土日のダッタンソバを挟んで、前回は「イタリアのフリウリ」を取り上げたガ、今日は「J」の付く国、「Japanのふりうり」をタイトルにしたい。
まるで駄洒落に聞こえるこのタイトルは、漢字で書くと「振売」。
駄洒落ではなく、大真面目につけたタイトルである。

「振売」は室町時代からすでに行われていた物売りの姿で、天秤棒の両側に売り荷をつるして、呼び声を上げながら売り歩くものである。
この形態が最盛期を向えたのは江戸時代であった。 売り物の内容は、豆腐、油揚げ、鮮魚、干魚などなど、極めて多数であるが、私がここで「蕎麦の振売」を問題にしている。

初期の頃の「そばきり」は寺社などで振舞われる特別の食であったのが、この「振売」の中に含まれて売られるようになって、一挙に庶民の食べ物として広がっていった。
今で言うなら、ファーストフードの位置を獲得したのがこの「振売」である。

日本のソバについては語ることが余りにも多い。そこで、今後私は3つに分けて説明して行きたい。
① 栽培植物(作物)としてのソバ
② 農家、栽培者のソバ料理
③ 外食産業として成長して行くソバ
   
① の栽培植物としてのソバは、国が違っても基本は同じ部分が多いから、土日の基本講座(?)として取り扱いたい。
② の農家のそば料理は栽培される土地、風土の影響が極めて強いもので、昭和初期までは地域ごとに多様な料理法が開発されてきた。そばの家庭料理といえば良いだろう。
③ 外食産業としてと名付けているのは、そば切りが現代に「そば、うどん」の「そば」になるまでの経過にかかわる話である。さらに、80%以上の原料を輸入に頼ってきた日本のそば食がある種の国際摩擦を引き起こしている面についても触れなくてはならない。

次回からは、②と③に分けて論じて行きたい。

また、②と③が、国によってどのように違うかは、時代により変わるので、日本ほどはっきり分けられないと言うことになろうかと思うが、それはそれぞれの国の社会構造に大きく影響されるものであろうから、機会をみて、ゆっくりお話できればと考えている。

ところで、日本の麺のそばに限って言えば、農家では時間にゆとりがあるときに、おばあちゃんが打ってくれる手打ちそばであるが、近年流行の「お父さんの手打ちそば」はどちらの系統に入れるつもりなのかと問われると、はたと困ってしまう。いや、訊ねて欲しいと思っているのが本心である。これもまた後に譲るが、それまでにお考えおき頂ければと願っている。

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