2009年6月6日土曜日

ダッタンソバ入門(1)(★)

6月7日

イスタンブールでエーゲー海を眺めながらの休日をとることにしました。
ソバの旅には直接の関係は無さそうなのですが、世界を見る目を養うためには良い時間になるだろうと思いながら。
トルココーヒーを飲みながら、今日はダッタンソバの話をしょうと思います。
ブータンの農民の間には、普通のソバとダッタンソバを一緒に播くと、何年かの内にダッタンソバだけになるとの言い伝えがありましたよね。
中国では、普通のソバとダッタンソバでは、栽培地域が違う。
こうした話に対する理解を深めるために、そして、今後度々出てくるダッタンソバを身近に感じられるようにと考えた、入門の講義です。


● ダッタンソバとは

最近健康食の一つとして脚光を浴びてきているダッタンソバを、植物の側面から見るのがこの一節の内容である。それを一言でいえば、「手打ちそばを作る普通ソバの親戚で、従弟か、はとこのようなものだ」と言ってしまえそうなのだが、それでは余りにも芸が無い。もう少し詳しく書いてみよう。
ダッタンソバはこれまで日本に栽培された歴史はないが、世界的に見れば分布の広い農作物である。そのダッタンと筆者の出会いは30年余り前、ヒマラヤのエベレスト街道に始まる。ネパール語でパーパルはソバ、ミトは甘いとか美味しい、チトは辛いとか苦いの意味だから、ミトパーパルは普通ソバ、チトパーパルはダッタンソバを指す。カトマンズで、エベレスト街道の高いところにはミトパーパルがあると聞いて出かけたが、登れど登れどあるのはダッタンソバばかりだった。そのあたり、ソルクンブ地域には普通ソバは無くて、ダッタンソバのなかの美味しいものをミトパーパルと呼ぶのだと、後になって知った。
何ともややこしい話を始めたようだが、これは普通ソバとダッタンソバの関係を示す象徴的な話でもあったのだと、その後、世界のダッタンソバを調べながら強く感じるようになった。

● 植物としての特徴

○ 自殖性のソバ
普通ソバもダッタンソバもソバ属に属し、近縁の植物であるが、両者の植物学的な違いのうちで最も大きなものは、前者が他殖性、後者が自殖性である点である。
普通ソバは雌しべがおしべより長い長花柱花と、雌しべの方が短い短花柱花があり、それぞれは別の固体についていて、形の違う花どうしで受精する。ダッタンソバはどの花も雌しべとおしべの長さは同じで、自家受精する。
ダッタンソバの方が花びらの大きさは小さく、色は薄緑や黄色、ピンクなどいろいろあるが、いずれも目立たない。虫媒で受精する普通ソバのように虫をひきつける必要がないからとでも理解しておけばよいのかも知れない。英語ではグリーンソバとも呼ばれるのは、この花の目立たなさによるのだろう。

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